ワンピース読んで起業。巧みな情報発信で急成長する消防設備業界の新鋭

消防設備業界日本一を目指すWAVE1

「ワンピース」にヒントを得て起業したちょっと変わり種の経営者、吉村拓也(30)さんは「35歳までに消防設備業界で日本一の会社になる」と豪語する。

自身のブログ『消防業界の革命児』では、WAVE1(ウェーブワン/東京・笹塚)の起業以前から今日に至るまでの様子を、約450本のブログ記事に綴ってきた。

また、消防設備点検に必要な資格取得のための「学習系YouTuber」(WAVE1 TV)としても活動を始めたほか、消防設備点検・工事に関する著書『最強の仕事 消防設備点検』を書き下ろすなど、他の経営者とは一線を画す情報発信が目立つ。

目標達成まで残り5年で、WAVE1の売上は年間3億円。消防設備業界をリードする企業は年間1000億円超と圧倒的な距離があるが——。

「僕が日本一になるまでの物語は、絶対面白いですよ」。

吉村さんはそう言って、不敵な笑みを覗かせる。

果たして、吉村さんの事業への自信はどこから来るのか、なぜ情報発信にそこまで力を入れるのか?本人に詳しく話を聞くことにした。

消防設備業の需要の高さに驚愕

吉村拓也(よしむら・たくや) / 株式会社WAVE1 / 設備一式工事(材工) | 消防施設工事(材工)

大阪出身の吉村さんは、もともと父親が営んでいた消防設備点検の会社で跡取りとして働いていたが、職場の点検作業員たちが嫌々働いているようにしか見えず、その仕事を将来的に続けるという考えは持っていなかった。

あるときそんな環境に嫌気がさし「何かでナンバー1になりたい、消防設備点検・工事の仕事から離れたいという想いに駆り立てられ、所持金10万円だけでとりあえず家を出た」と、上京した当時を回想する。

当時の先輩に聞かされた「消防設備業界は、いろんなところのでき損ないが集まる墓場だ」という言葉はしばらく頭を離れなかった。

しかし、東京生活の所持金は早々に尽きかけ、やむなく消防設備点検の作業員を募集している会社に電話すると、経験もあり、資格も持っていた吉村さんは、フリーランスの即戦力として簡単に生活費を稼ぐことに成功。

この事実に吉村さんは衝撃を受けた。

「これまで蔑んできた仕事が、価値あるものだと気づかされました。70代ぐらいの年配の人や女性が、フリーランスとしてバンバン働いて稼いでいたんです。消防設備点検・工事業はこれからの時代、絶対に需要が高まると悟りました」。

近い将来、AIやRPAによって、中高年者を中心にリストラの憂き目に遭う人が増えるときがやってくると言われてきたことがそう理由だった。しかし、2020年のコロナショックにより、その時期はさらに早まったかもしれない。

そうやって選ぶつもりのなかった消防設備点検・工事で起業することを決めたのだった。

消防設備点検の認知向上のため、ユーチューバーと作家でデビュー

吉村拓也 著『最強の仕事 消防設備点検』
吉村拓也 著『最強の仕事 消防設備点検』

吉村さんが、この先予想されるリストラ時代に消防設備点検・工事業の需要が高まると考える決定的な根拠は大きく2つあった。

まず消防設備点検が、戸建住宅以外の建物すべてに、年2回実施することを義務とされている「法律に守られた仕事」であること。

そして圧倒的に作業員や工事の職人が足りていないことだ。

東京にはこれだけ建物が乱立しているのに、点検対象の建物の内63.3%しか点検できていません。正直、全然回ってないのが実情です」。

しかし、消防設備点検・工事業の認知があまりにも低いため、今のままリストラ時代がきたとしても、求職者の仕事の選択肢になりずらいのは明らかだった。

そこで吉村さんは、これまでのブログやSNSに絡めて、YouTubeチャンネルを開設し、消防設備関連資格の受験対策講座の動画配信を開始。また、著書の執筆もはじめ、今まで以上に消防設備点検・工事業の価値発信を強めていく。

「法に守られた安定的な仕事」であること「体力的なハンデなく始められる」こと「最短3カ月で資格取得ができる」ことなどを何度も繰り返し主張した。

メディア発信はWAVE1のファン獲得活動

消防設備士乙種6類試験対策/YouTubeチャンネル「WAVE1 TV」

吉村さんの起業は、大好きなワンピースから影響を受けた。作品を読み、その先どんな業界で起業したとしても、自身や会社のファンを獲得することを大事にしようと考えるようになった。

「人って自分がリスクを取って動くのは嫌だけど、他者が挑む姿を見るのは好きだったりする。ルフィの冒険が正にそれです。良いときも悪いときも描写されていて、その物語に感動、共感した読者がファンになり、作品を支えています。

それなら企業活動も、冒険物語として見せるべきではないかと。だから僕は、自分のことを『経営者・ヨシムラタクヤ』というキャラクターが消防設備業界日本一になるまでの物語りを描く作者だと考えるようにしています」。

吉村さんが上京した1日目から今日までを、ブログやSNSで頻繁に発信し続けている最大の理由はそこにあった。

強気な宣言を続ける理由

独自のビジネス論を語る消防設備点検・工事業「WAVE1」の吉村拓也さん

成し遂げたいと思ったことは、臆さずに公言していくのが吉村さんのパーソナリティーで、それはずっと大切にしてきたこと。

上京したてのフリーランスのころから、周囲に「俺は、35歳までに消防設備業界日本一の会社をつくる」と、想い丈を憚ることはなかった。

“35歳まで”としたのは、漫画ではなく現実社会の場合、甲子園を目指す高校球児たちのように、タイムリミットを課されるほうが、物語に人を惹きつける力がプラスされると考えたから。

「もし、いつの日か売上10億円の会社をつくると言っていたら、物語として面白くないですよね。本当はそれも大変なことなんですけど」。

繰り返される吉村さんの大胆な宣言は、9割の人間に鼻で笑われたが、やがて「面白そう、一緒にやりたい」と言ってくれる仲間が5人ほど現れた。

「目標を口にするリスクって、失敗したときに陰口叩かれたり、知らないところで笑われるだけじゃないですか?直接僕に向けられていない言葉なんて、全然気にしませんよ。

むしろ目標を口に出して言うことは、得しかないと思ってます。自分が想像もしていない人が共感して仲間になってくれたり、支援してくれる人が現れる可能性もありますから」。

吉村さんが書籍を執筆することになった経緯も、その一例。20代のうちに本を出すとひたすら言い続けていたら、巡り巡って出版社編集部の耳に入り、その機会を得たという。

ブログ450記事を書いて得たメリット

苦節3年、吉村さんが一方的に発信してきたブログやSNSなどの情報を、楽しみにするファンが少しずつ増えていった。

北海道にある同業の会社から「ファンです。ぜひお会いしたい」と声が掛かり、以来WAVE1に舞い込む北海道案件はすべてその会社に発注するようになっている。

ブログなどをよく見てくださっている人は、直接会ったことがなくてもWAVE1のことを信頼してくれているんです。なので、こっちが相手を信頼できるかどうかだけで、遠隔地や初めて会う会社とも仕事がスムーズにできるようになりました」。

また、WAVE1の採用にも良い影響を及ぼしている。会社は現在、アルバイトも含めると40人に膨れ上がり、昨年は11人、今年は3カ月で既に6人の社員を採用。ICT分野に力を入れるためのエンジニア採用も叶った。

そのほとんどが吉村さんの情報発信を見て「この会社面白そう」と興味を持った人間たちばかり。

加えて、情報を発信することで思わぬ収穫もあった。それは意外にも、アンチが現れたことに因るもの。

彼らが某有名掲示板に悪口を書き込んだり、自分の職場の同僚たちと吉村さんの陰口を叩くことによって、それを見聞きした人が逆にWAVE1へ興味を示すようになってくれたのだ。

「アンチの人たちも、今ではすごくありがたい存在です。彼らのおかげでファンも、社員も増やすことができました(笑)」。

消防設備業界の人口増加のためにアプリを開発

点検作業を説明する消防設備点検・工事業「WAVE1」の吉村拓也さん

消防設備点検・工事業務と並行して業界の認知拡大とファン獲得に費やした3年を終え、2020年2月、吉村さんは業界日本一になるためのギアを一気に上げる。

消防設備点検・工事の従事者を増やすための一手として、起業したときから構想を温めていた業界特化のマッチングアプリ『ビルメ』をリリース。

まだ誕生間もないアプリで、登録者数は150名ほどに留まっているものの、既に月間1000マッチングを達成しているという。

そのカラクリは至ってシンプルで、登録者の内40名ほどがビルメでマッチングした仕事によって生計を立てる(1人あたり25日働く)ようになっているからだ。

「何十万人も登録者がいるアルバイトのマッチングアプリが、月間6000マッチングっていう話を聞いたことがあるんですけど、それが本当ならビルメは登録者を240人集めればすぐ追いつける計算です」。

しかし、ビルメは登録者数ではなく、あくまでマッチング成立数にフォーカスして今後も展開していくという。

コロナショックを受け、消防設備業界活性化を急ぐ

「AIによる大幅なリストラに備えて消防設備点検・工事の魅力を発信してきたのですが、今回のコロナでそれよりも早く、思っていた以上の失業者が出るのではないかと思います。だからこそ、ビルメをもっと広めていかないといけません。

今まで俳優やってたとか、音楽やってた人は、居酒屋とかでバイトしてたと思うんですが、「もう来んといてくれ」って言われる人も出てきました。

そういう人たちの副業として「ビルメ」が口コミで広がってきています。UberEats(ウーバーイーツ)以外の選択肢になりはじめているようです」。

吉村さんが宣言するWAVE1が日本一を達成までの期日は、残すところ5年。

ビジネス、人生の“荒波”を乗り越えて“ナンバー1”になるまでの姿を発信していく「WAVE1」の物語がどのようなエンディングを迎えるのだろうか。

[企業情報]

社名/株式会社WAVE1

https://sustina.me/company/662032

本社所在地/東京都渋谷区笹塚3-61-11-301

自社請け可能工種/設備一式工事(材工) | 消防施設工事(材工)

対応可能エリア
茨城県 | 栃木県 | 群馬県 | 埼玉県 | 千葉県 | 東京都 | 神奈川県 | 滋賀県 | 京都府 | 大阪府 | 兵庫県 | 奈良県 | 和歌山県


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