「お金なんて、どうでもええねん」義理人情で事業拡大する内装工事会社

2000回は辞めようと思ったクロス職人

職人の世界にも最近、生産性向上という効率化の波が押し寄せている。

そんな中、「友情や絆を大事にすることで成長できた」と語るのは、株式会社ASTRIDE(京都府京都市)の代表・甲部真吾さん。クロス職人としてキャリアを始め、現在は関西圏で内装一式工事を行なっている。

「アイツと一緒に仕事しててよかったなって思ってもらえるなら満足」と、仲間たちへの恩返しのために忙しく駆け回る。

甲部さんは、なぜ仲間の絆を大事にするようになったのか? なぜクロス職人を2000回も辞めようと思ったのに、辞めなかったのか? いろいろ話を聞いてきた。

店舗の内装工事が好き「ここ俺がやったんやで」

  株式会社ASTRIDE代表・甲部 真吾(かっとり・しんご) / 京都府京都市 / クロス・表具工事、内装一式

–ASTRIDE(アストライド)の仕事内容は?

甲部 真吾(以下、甲部) 今は内装一式管理・施工の会社としてやっています。23歳のときに独立して、12年間、個人事業主をやった後、一昨年に法人化しました。

–施工エリアや請けるジャンルは?

甲部 基本的には関西圏を中心に施工させてもらっているんですけど、タイミングによって近隣県ぐらいまでは行くときもあります。

熊本の地震があった後には、熊本で同じ内装をやっている従兄弟から応援要請を受けました。職人が足りなく困っていると言われたら、もう熊本に行かない理由なんてないですよね。

特に施工ジャンルについては限定していません。住宅、店舗、オフィスなどあらゆる内装をやらせていただいています。

個人的な楽しさで言えば、店舗の内装工事が好きです。手がけたレストランなんかに、後日嫁さん子供と一緒に行ったりして、「ここ俺がやったんやで」なんて言えるのもいいですよ。

7時から翌朝4時まで「3日連続」で働いて、倒れた

クロス職人の修行時代を語る内装一式工事業者・株式会社ASTRIDE(アストライド)の甲部真吾さん

–なぜ建設業の仕事を始めた?

甲部 僕は18歳からクロス職人をやってきました。

実家は父親と兄が造園業をやっていて、若い頃は親と一緒に働くのは嫌だなっていう想いがあったんです。兄がいるから、父親から家業を継ぐことを強く求められていた訳でもなかったですし。

当時、バイトしながら生活していたときに、ちょうど兄の同級生がクロス屋で、そこを兄に紹介してもらったのがきっかけでしたね。「クロスって何なん?」と、意味もわからずでしたが(笑)。

–クロス職人の修行は大変だった?

甲部 なかなかハードなクロス屋で、給料は低いけど仕事量は多い(笑)。あるとき朝7時に仕事が始まって、翌朝4時ぐらいまで働くっていうのが、3日続いたこともありました。

そしたら流石に3日目に僕も倒れてしまって。別の職人さんに発見してもらって助かったんですけど、それが結構な問題になったりもしましたね。

きつい職場ではあったんですけど、かつて僕たち職人の中ではどんな理由があっても3年続けずに辞めると「どこ行っても、アイツはあかん」と影で言われてしまう風潮があったんです。今では考えられないことですけど(笑)。

僕の場合、家が職人家系だったこともあり、そういう伝統的な部分を大切にするところがあったんで、意地で辞めませんでした。本当は2000回ぐらいクロス職人を辞めたいと思ってましたね(笑)。

「仲間」の助けでクロス屋から内装一式工事会社に進化

独立と会社の成長について語る内装一式工事業者・株式会社ASTRIDE(アストライド)の甲部真吾さん

–独立を決意した理由は?

甲部 23歳の時に独立したのですが、当時はなんの根拠もなく、30歳になった時点で、その先の自分の人生が決まると思っていたんです。「30歳でショボい職人だったとしたら、その先もずっとショボいままや。それなりに頑張ってて名の通った仕事ができていたら、もっと飛躍できるやろ」と。

結局、最初のクロス屋で5年働いたのですが、僕の根拠もない考えに立ち返ったとき、このままではダメだと思って独立することにしました。

–クロス屋から内装一式にはどのように変わっていった?

甲部 僕は本当にクロスを張るだけの職人で、徐々にお客様から頼られるようになって、一人ではこなせないような仕事量をお願いされるようになっていきました。

僕もなんとかお客様の期待には応えたいと思っていたので、応援を呼んだりして、2人、3人でこなすという形を繰り返すようになっていったんです。

応援に来てくれた仲間は、ほかに仕事があるにも関わらず、僕が大変だからっていう理由だけで駆け付けてくれていました。

そんな仲間に相応の対価を払えるようになるため、材工一式に切り替えたり、床仕上げ工事、ダイノック工事などの内装仕上げ工事もと仕事の幅を広げていきました。

するとある時、僕の古い友人が夢だった美容室を開業することになって、お店の施工を「頼めへんかなあ」と相談してきたんです。

幸い電気屋さん、大工さん、設備屋さんとも繋がりはできていたので、その人たちに相談してみたところ「できるやろ。やってあげるよ!」と快く引き受けくれて。

そんな周りの人たちに助けてもらったことで、友人の美容室もなんとか形にできて、喜んでもらうこともできた。それが内装一式工事という形に成長していったきっかけでしたね。

内装一式工事で成功して仲間に恩返しを

–甲部さんの「仲間」になる基準は?

甲部 目を見てしゃべることを大切にしています。そうした中でその人の良いところ、悪いところが見えてきて、付き合うかどうかの判断ができる。

1回会ったぐらいではわからないことも多いので、僕の場合時間がかかるかもしれません。「お客様ファースト」は大前提ですが、これまで述べてきたような仲間意識というか、価値観を共有できる人が良いですね。基準としてはやっぱり「人」に尽きます。

–甲部さんのこれからの目標は?

甲部 法人化して内装一式で請けるようになることができましたが、あの時助けてくれた仲間がいなかったら、自分が今のように成長できていないことはわかっています。

「お金なんてどうでもええねん。早よ終わらしてメシ行こっ」なんて言って助けてくれたのをハッキリ覚えています。

逆に、一緒になった現場の休憩中などに大変な状況だと聞いて、お願いなんてされなくても手伝いに行ったりすることもありました。

そういう銭、金じゃないところで動いてくれる仲間に対して僕が何ができるかっていったら、もちろんまずは気持ちを返すことですけど、仕事は仕事なわけですから対価を支払いたいですよね。

それで10年後なのか20年後になるのかわからないですけど、「アイツと一緒に仕事しててよかったな」って思ってもらえるなら、僕は満足です。

今は内装一式としては駆け出しの段階なので、あまり偉そうなことも言えないし、年間の仕事の割合もそれが占めているということでもないです。もともとやっていたクロス・床での依頼と半々ぐらいですが、そんな人たちに仕事を依頼するためにも、内装一式の割合を徐々に増やしていけたら良いなと思っています。

[企業情報]

社名/株式会社ASTRIDE(アストライド)

https://sustina.me/company/655172

本社所在地/京都府京都市山科区大塚北溝町10

対応可能職種/内装一式工事(材工), クロス・表具工事

対応可能エリア/関西圏


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