職人が「評価される」ための3つの方法  施工管理35年のベテランが伝授

職人が評価されるためのアドバイス

私は施工管理として35年のキャリアを重ね、これまでに数多くの職人さんを見てきました。その経験から評価者の目線で、職人さんに「現場で意識して取り組んでほしいこと」を紹介させてもらいます。

話のテーマ上、どうしても上から目線のような言い方になってしまい恐縮ですが、「安全」「工程」「品質」の3つの観点から述べていきたいと思います。

新型コロナ禍はこれからどうなっていくのか全く予想もつかず、すでに工事がストップし困っている職人さんもいることでしょう。だからこそ工事再開時にスタートダッシュを決められるよう、参考にしてくれると嬉しいです。

簡易KY活動「顔を(K)よく見ろ(Y)」

現場を無事故で終わらせることは何よりも大切なことです。

現場で一般的に行われているKY活動(危険予知活動)は事故を防ぐ手段として大きな効果があります。でも「やってはいるけど毎日となると難しい」という会社が多いのではないでしょうか。

最善は「毎日実施すること」ですが、そうできない現場もあります。そんな状況下において、私が「この取り組みは良いな」と感じた取り組みを紹介します。

これは毎日できる簡易的なKY活動。「顔を(K)よく見ろ(Y)活動」です。

建設現場の朝礼でもよくある「ヘルメットよいか?よし!」「安全帯よいか?よし!」「顔色よいか?よし!」の顔色のことです。

毎日集合時に仲間と顔を合わせます。挨拶や冗談も交わすことでしょう。ここで大切なことは、もし誰か顔色が悪かったり眠たそうな表情をした仲間がいたら、必ず言葉で伝えてあげることです。

「○○くん、今日は眠そうだなぁ。きのう夜遊びしすぎた?」みたいな感じでもOKです。軽い会話でもいいので、とにかく「今日はこんな風に見えるよ」ということを伝えることが大切。

言われた方は、その一言で「今日の自分はいつもより調子がよくないのかぁ」という意識がインプットされます。それが危険作業に対し、注意を払ったり、慎重になることをうながすのです。

余談ですが先日、私も体調が悪くなり、急遽これまでに診てもらったことのないクリニックに行きました。内装がきれいでそこそこ立派なクリニックでしたが、やけに空いている印象。診察を受けて、すぐにその理由は分かりました。

そこの先生は、患者である私の顔をほとんど見ないんです。パソコンを見ながら問診し、またパソコンに何かを打ち込んでいき、診察は終了しました。「この人に自分の体のことを任せたくない」と思った私は、一回切りで以後その病院に通わないことを決めました。

建設と医療、職種は違いますが、人として仲間やお客様の顔を見ながら、そして気遣いながら仕事をすることが「安全」や「健康」を作るうえでの基本だと思います。

適度に余裕を持たせた「工程」

例えば、5日で納める現場があったとしましょう。

普段、5日後の完成のために逆算して「今日はここまでやろう」と目標を立てて作業に当たっているなら、それを4日で終わらせるための計画にしてみてください。

施工管理が「“適度な”余裕のある工程計画を立ててください」と言うのは簡単ですが、なぜそう言っているかというと、職人さんに以下のようなメリットがあるからです。

まず、何よりも適度に余裕を持って工程を組むことが、施工管理に対する効果的な営業活動、アピールになります。

工程に余裕があれば何か変更があったりトラブルがあったとき、是正に当てる時間を確保できます。もし何か変更やトラブルがあっても、もともと1日余裕があるので対応はしやすい。

もし予定通り4日で完了したなら5日目は休んでもいいし、品質アップのための補修作業に当ててもいいでしょう。

一方で余裕がありすぎる工程を計画すると、コストを圧迫したり作業に対して気がゆるむことがあるので注意が必要です。

こういう考え方を共有できる施工会社に、私たちが優先的に仕事お願いするのは自然なことだと思います。

私の好きな職人2名の事例「プライドと謙虚さ」

塗装のイメージ

品質向上の為に、私たち現場管理者が大切にすべきことは「職人さんが技術を思う存分発揮できるような環境を整えること」です。

その上で、そこから先は職人さんの腕に左右されることも事実です。そうなるとやはり、施工管理は高品質の物を納められる、できるだけ腕の良い職人さんと仕事がしたいところ。

では「良い職人」とはどんな人のことを言うのでしょうか。

施工管理も人それぞれ性格や考え方が違うので千差万別だと思いますが、私の好きな塗装職人さん2人を例に説明してみたいと思います。


【N塗装の職人・安藤さん(仮名)】

この道約40年のベテランで技術もあり自信(プライド)も持っている、本当に頼りになる職人さんです。

たいていは黙っていても綺麗に納めてくれますが、たまに不具合を指摘することがあります。すると散々その理由を説明してくれて、最終的に完璧に直してくれます。

指摘した不具合には本人によらない原因があって、それも説明してくれる。決して言い訳をしているわけではなく、そうなった根拠を聞かせてくれます。そこにはプライドがあるのです。

【K塗装の職人・川野さん(仮名)】

その道約15年。まだ若いですが、しっかりした職人さんです。

まだトップクラスの職人ではありませんが、それを謙虚な姿勢でカバーし、品質の高いものを提供してくれます。

川野さんはいつも下地処理と仕上げの各作業工程が終わると、必ず自分でチェックし不具合の個所にテープでマーキングしてから手直しをしていました。


安藤さんの持つ「絶対に下手な仕事はしねぇ」というプライド、川野さんの「俺の実力はまだまだだから人より努力しなきゃ」という謙虚さは、いずれも自分の仕事に対しての厳しさを生み、「良い仕事」という結果に繋がっていました。

思うに、謙虚さが良い仕事を生み、良い仕事がプライドを生むのでしょう。その逆も然りです。

つまり、腕の良い職人とは相反する「プライド」と「謙虚さ」をバランスよく持ち合わせた人物だと私は考えます。

評価される職人になる

以上、気がつけばベテラン施工管理と見られるようになった私から、「安全」「工程」「品質」3つそれぞれのシーンで、「現場で意識してほしいこと」を述べさせていただきました。

新型コロナウィルスにより、感染の恐怖だけでなく経済が停滞傾向にある中、建設業界で働いている職人の皆さんも「不便」や「不安」を抱えていることと思います。

しかしこの機会だからこそ、今まで皆さんが魂を注いできた仕事と、もう一度向き合うチャンスではないでしょうか。

私たちは、今までもこれからも「社会から必要とされる業界」の家族です。「評価される職人」として日々現場を作り上げていくことができるように、私の考えが少しでもお役に立てれば嬉しいです。


詳しくはこちらをクリック