17歳から左官一筋。有名ブランド店の「内装」を任される左官工事会社

有名ブランド店舗の内装工事を手掛ける左官工事会社

有名アパレルブランドや、大手企業の内装仕上げに携わっている左官工事の株式会社クレアーレ。代表の安井啓介さんは、17歳から左官工の道に入った、左官歴20年のベテランだ。

左官屋が減ってきている今、機械化できない左官工の使命と魅力は何なのか? 工事費の未払い問題や、外国人実習生の雇用、現場での働き方改革なども含め、左官工事業者の実態について、いろいろ聞いてきた。

「難しいほど好き」左官工の仕事を選んだ理由

安井啓介(やすい・けいすけ)/ 株式会社クレアーレ  / 左官工事(材工) | 石工事(材工) | タイル・レンガ・ブロック工事(材工) | 防水工事(材工)
安井啓介(やすい・けいすけ)/ 株式会社クレアーレ / 左官工事(材工) | 石工事(材工) | タイル・レンガ・ブロック工事(材工) | 防水工事(材工)

–安井さんが、クレアーレを起業したきっかけは?

安井啓介(以下、安井) 左官工は雇用されていようが、自分で起業しようが、仕事内容は同じです。だったら自分でやりたいというのが一番でした。左官工はどこで働こうが、お客さんに良い商品を提供する、それだけです。

ただ、人の育て方に関しては、独立後に考え方が変わりました。建設業界では日当制が一般的です。もっと社員のプライベートな時間を作るにはどうしたら良いかと考え、時間で拘束するのではなく、ノルマで働いてもらうようにしました。

うちの会社では、やることをやれば、15時に上がろうと問題ありません。早く終わるとわかっていれば、社員も頑張ります。逆に、1日のノルマを達成できければ、夜20時まで残らないといけない。どちらが良いかは社員次第ですが、技術を磨く原動力になると思っています。

–取引先は独立前から世話になっていた人が中心?

安井 いいえ、基本的にはすべて新規のお客様です。私は、独立時に前の会社からお客様を奪うのは、建設業においてはタブーだと思っています。ですので、人のツテを頼ってお客様を探したりしました。

–では、仕事に困ることも多かったのでは?

安井 そうですね。途切れずに仕事がもらえる世界ではないですから、いろいろやれることはやりましたよ。技術もある程度一通り学んできているので、左官以外の工事も施工しました。

–安井さんが左官の世界に飛び込んだきっかけは?

安井 もともと高校に行く気がなくて、中学を卒業したら職人になると決めていたんです。何の職人になるかは全然決めず、いろいろやってみました。その結果、同級生の祖父が左官屋をやっていて、そこでのアルバイト経験から左官屋にたどりつきました。 17歳から左官工をやっていて、建設業以外の仕事をしたことはありません。

これは口で伝わるかはわかりませんが、左官屋の仕事は奥深いんです。今は、色々な仕事が機械でできるじゃないですか。そんな中で、左官は自分の手でやらなければならない。左官職人の作業は一見、簡単そうに見えるかもしれません。でも、平らにするのって難しいんです。難しければ難しいほど挑戦するのが好きで、それが左官屋になった一番の決め手でした。

「仕上がりに厳しいブランド店」左官工の仕事の魅力と使命

–左官屋の仕事でやりがいを感じる瞬間は?

安井 左官屋は減ってきているので、私たちがいなくなると、作る人がいなくなるじゃないですか。使命感として、自分が左官屋をやんなきゃいけないと思っています。

そして、お客さんに喜んでもらえた時や、仕上がりをほめてもらえた時は、左官職人をやってて良かったと思います。お客さんに気持ちが伝わった瞬間ですね。

たとえ、どんなに綺麗に仕上げられたとしても、お客さんが喜ばなければ、それは自己満足にすぎません。喜んでもらえる商品になった時が一番嬉しい。

うちは左官工に加えて内装工事全般を手掛けるようになっていますが、ベースはお客様第一。頼んでよかったと思ってもらえるものを作ることを大事にしています。お客様もリピーターが多いです。

–新規開拓はしていませんか?

安井 新規のお客さんを開拓しようとしても、すでにお付き合いのある左官屋さんがいるはずですから、その左官屋さんを押しのけて工事案件を取るのは難しいです。

でも、一度工事をうちに発注してもらえたら、お付き合いを替えていただけるだけの仕上がりを提供できますし、実際にそうなることもあります。

–左官の腕を買われて、東京だけでなく、福岡の現場にも呼ばれるそうですね?

安井 大手企業が施主の場合、指定の元請けがいます。たとえば、その元請けの本社が東京にある場合、博多での工事にも、東京の工事業者を呼ぶことが多いんです。

特に、ブランド店の工事案件は、施主の仕上がりに対する目が厳しい。そして、工事のやり直しは高くつきます。そうならないように、元請けはすでに実績のある間違いのない左官業者を使おうとするようです。

工事費の未払いと下請けの弱い立場

仕事で嬉しかった瞬間を語る株式会社クレアーレ代表・安井啓介さん

–工事費の未払いに遭ったことはありますか?

安井 あります。 工事が終わった翌月に支払う約束だったのですが、3か月間、工事費用をもらえませんでした。

建築業界は特に、新規の工事業者に対する未払いって多いんです。大手企業以外からの案件だと発注書などを交わさないことが慣習になっているので、裁判沙汰になっても僕たち下請けは不利。立場が弱い下請けから、発注書を出してほしいとは、なかなか言えないですね。

–結局、工事費の回収はどのように?

安井 先方に電話をしたら「社長が入院していて払い込みができない」と言われ、次に連絡を取ったときは「担当が入院していて払い込みができない」と(笑)。

私は筋が通ってないのは嫌なので、根気強く電話して、いつ払うのかという念書をハンコ付きでもらうことができました。これで出るとこに出ても戦える状況は作れたのかなと。

左官工事業の社員教育

–社員教育で気を付けていることはありますか?

安井 服装にしても、頭髪にしても、細かく言うことはありません。うちの場合、基本的に現場にお客様はいないので、社員の見た目よりも、工事の仕上げがきれいかどうかの方が大事です。各現場ごとにルールもあるので、それを守らせることは重視しています。

当たり前ですが、挨拶は徹底させています。その方針が合わずにうちの会社をやめるなら、やめてもらっていい。どこの会社に行っても挨拶や返事は大事なので、仮にうちの会社をやめても、次の仕事に活きるような指導を心がけています。

–クレアーレの社員構成は?

安井 社員は5名で、外注の方も入れると10名で工事をしています。一番若い社員は18歳の女の子。あとはベトナム人が2名と、30代の日本人が1名。みんな未経験から就職していて、今は半人前の状態です。

女性社員には考慮して、重いものを運ぶといった業務は減らしています。とはいえ、塗る仕事に力は関係ないので、力仕事しない分は塗り作業でカバーしようという形に、特性に合わせて指導しています。

左官事業とベトナムの外国人実習生

将来展望を語る株式会社クレアーレ代表・安井啓介さん

–今後、事業拡大は考えていますか?

安井 会社を大きくしたいという願望はありません。ただ、工事をする人間が潤わないと業界が盛り上がらないと思っているので、どうしてもってほどじゃないですが、チャンスがあれば拡大できるといいですね。

–新たにやってみたいお仕事などは?

安井 ベトナムで仕事をしてみたいですね。うちでも外国人実習生を抱えているのでわかるのですが、ベトナムで日本語を教えているのもベトナムの人なので、日本で使う日本語と違ったりします。

結局、ベトナムで教わっても、使える日本語は半分にも満たない場合もあります。だから、教えているベトナムの先生を育てていきたいと思っています。

3年経ったら外国人実習生は帰ってしまいますから、帰ったら日本語学校の先生をやりなよ、という感じで送り返してあげて、日本で勉強したことを財産に、良い仕事に就けるという循環を作ってあげられると良いですよね。

[企業データ]

社名/株式会社クレアーレ

https://sustina.me/company/656136

本社所在地/埼玉県新座市馬場2-7-9

自社請け可能工種/左官工事(材工) | 石工事(材工) | タイル・レンガ・ブロック工事(材工) | 防水工事(材工)

対応可能エリア/全国


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