大阪から東京進出した大工の苦労と「ものづくり」へのこだわり

自分が作りたいものを作る現場主義の大工職人

8年前、30歳のときに大阪から関東へ拠点を移した深堀富志徳さんは、店舗の大工工事、家具・什器工事や内装一式工事を手がける大工職人。

これまでの職人人生は「自分の作りたいモノを作る」「現場主義」という職人気質(かたぎ)を貫いてきた。

現在でこそFUKAHORI(埼玉県所沢市)の屋号の下、一人親方として今では忙しい日々を送っているが、関東に来てしばらくは同じ建設業でも商売気質の違いや未払いの被害に苦しむことも少なくなかったという。

そんな深堀さんに、拠点を移したことで味わった苦労や関東と関西の建設業者の違いなど、いろいろと話を聞いてきた。

大工技術に自信があるから質にこだわる

深堀 富志徳(ふかほり・としふみ) / FUKAHORI / 大工工事、家具・什器工事、内装一式工事
深堀 富志徳(ふかほり・としふみ) / FUKAHORI / 大工工事、家具・什器工事、内装一式工事

–深堀さんはどのような工事を請けている?

深堀 富志徳(以下、深堀) 一人親方として仕事していて、決まった職人さんとチームでやってる現場が多いです。店舗のほかに最近は、オフィスやライブスタジオなどの工事を請けることも増えてきました。

–施工で大切にしていることは?

深堀 電気や設備工事などの専門的なところ以外は、性分としてあんまり人に任せ切りにできないところがあり、常に現場には出続けていたい。職人肌なので現場で叩く方が好きなんです。

–協力業者に助けてもらうことは考えない?

深堀 探せばきっといると思うんですけど、正直、任せられるほど良い職人さんが少ないんです。特に飲食店などの店舗って、内部の納まりとかあるので結構難しいから、そういった所は自分でやるしかないと思っています。

大工仕事は見よう見真似で覚えた

–なぜ職人になった?

深堀 家が好きだったんです。よく新聞に新築物件などのチラシが入っているじゃないですか。中学生の頃、新聞を見るのは何一つ面白くなかったけど、チラシで間取りや外観などを見るのが好きでした。そこから、建築関係の仕事をしようかなって思っていたんです。

でもすぐに大工になった訳ではありません。建設の仕事は15歳でアルバイトで解体と揚重の仕事を始めました。叔父が軽天・ボード工事をやっていたので、手伝いなんかもしていました。18歳で建築会社に就職し、OAフロア施工も身に付けました。

OAフロアは、軽天・ボードの仕事を経験していたので、それが生きたと思います。寸法を測って切る対象が、石膏ボードなのかベニヤ板なのかぐらいの違いだったので「できちゃった」みたいな感じです。

–そこからどうやって大工になった?

深堀 19歳のときに成り行きで独立したんですけど、最初は荷揚げを請けたり、あとは内装や大工工事の現場などを請けて、協力業者の大工さんをまとめて現場で指示し、マンション一棟を納めたりしていました。

そんなことを繰り返しやっていると、見よう見真似で大工の仕事を覚えていましたね。自分でもマンションの部屋を叩いたり、一戸建てを叩いたりしていくうちに、大工が楽しくなっていきました。そこから本格的に大工の道を歩み始めたんです。

関東で大工を始める

–なぜ関西から関東に移った?

深堀 外食チェーンが店舗を数百店舗出店するという計画があり、月に2店舗くらいは任せてもらえるという話があったので、2年は仕事が続くだろうと思って移住しました。店舗専門で工事をやっていきたいという気持ちも多少ありましたので、良い機会だなと。

結局こっちに来てみたら、その外食チェーンの店舗を任せてもらえる量が月に2店舗も無く、最終的に9店舗ほどしかやらずに終わりました。物件が決まらなかったり、計画通りにいかなかったこともあったようです。

–では、仕事の当てがなくなった?

深堀 東京に移住する前から、チェーンのカラオケ店舗の現場監督と軽天工事、大工工事でこっちに出張する機会も多かったので、その仕事とそこからの繋がりで請けられる仕事がありました。

–関東と関西で建設業に違いはある?

深堀 ざっくり言うと、関西の人ってやって貰ったものに対してはお金を絶対払ってくるんですよね。情に厚いというか。関東の人は本当にビジネスライクです。損得勘定というか、完全に商売として割り切って仕事をしている人が多い印象。もちろん中には気持ちのある人もいますけどね。

工事の高額未払い被害を経験

過去の未払い被害を語る深堀さん

–仕事でのトラブルなどは?

深堀 東京に来てから、高額の未払いに遭ったことがあります。ブローカーのような業者が入っていた工事で、そことウチの発注者とトラブっちゃって「お金が入らないから払えません」と告げられました。

ほかにも元請けがお金持って逃げたとか「他に回してお金ありません」みたいなケースが立て続けに起きた時期がありましたね。今はちょうど裁判中です。

昔は、いくら戻ってくるかわからない裁判のために弁護士事務所に行ったり、裁判にかかるその他諸々の手間のために仕事を断るよりは、抱えている仕事を地道にこなす方が確実にお金を得られると思って裁判まではやっていませんでした。

そんな苦い経験から、直接お客さんから直接受注しようと思い、ホームページを作成したりしました。そのおかげもあって、現在は元請けとしての仕事が半分ぐらいになっています。

–新しい受注の仕方で工夫していることは?

深堀 お客さんとのコミュニケーションを1番大事にしています。仕事を終えて、お客さんから信頼してもらい、リピーターになっていただけることが理想です。

課題は元請仕事の安定と人材採用・育成

–ゆくゆくは大阪に戻りたい?

深堀 それは特に考えていません。別に場所はどこでもいいと思っています。かつては四国や九州、沖縄などにも出張に行って楽しんでましたからね。

特に大阪にこだわりがあるわけではありません。面白そうな現場とか、建物、自分の作りたいモノを作れるのなら、特に土地は関係ないと思っています。

–今後の展望は?

深堀 営業などをせず、現場に集中できるようにしたいです。今、継続的に発注してもらえていてるお客様が数名いるのですが、そういう贔屓にしてくれる方々を増やしていきたいと思っています。

–信頼できる人材は採用したい?

深堀 若手の採用はしたいです。30代半ばぐらいで建築の世界に入ってきても、肉体的にしんどい部分がありますし、技術を吸収するスピード感が遅いということを、これまで雇ってきた中で学びました。

私は仕事を請けると現場監督をしながら、大工工事や軽天工事、その他の工事も自分でできることは自分でやっています。だからこそ、協力業者さんを呼んだときも、お願いしたいことをきちんと説明もできる。

また、自分で取ってきた仕事はお客様に直接、こんな作業を行なって、こう仕上げますと伝えられます。入ってくれた若手にも、同じことができるように育成したいです。

[企業情報]

社名/FUKAHORI

https://sustina.me/company/657290

本社所在地/埼玉県所沢市日比田577

自社請け可能工種/内装一式工事 | 大工工事(材工) | 家具・什器工事(材工)

対応可能エリア/埼玉県 | 東京都 | 神奈川県


詳しくはこちらをクリック