職人が「安定した仕事」を得る方法を“ゼネコン1次請け”が明かす

ゼネコンの工事を請けるメリット

「信頼できる職人企業が少なくて困っている」——。そう本音を漏らすのは、ゼネコン1次請けの工事会社Aの社長だ。

同社はゼネコン関連の工事や公共工事を請け負っており、多数の仕事を抱えている。しかし協力業者となってくれるはずの職人企業に仕事を発注できずに困っている状況だ。

「建設業許可を保有していなかったり、社会保険が整備されていなかったり、さらに職人が資格を持っていないケースもある。そこさえクリアしてくれたら、いくらでも仕事を頼めるし、みんなが幸せになれるのに」と工事会社Aの社長は語る。

しかし、これは協力業者が不足していることへの嘆きである一方で、職人企業にとってはチャンスでもある。なぜなら、ゼネコンや大手クライアントの仕事を請け負う職人会社は「安定」を得る可能性が高まるからだ。

例えば、有名テーマパークの工事案件は、数年掛かりの大きなプロジェクトになると長期的な仕事につながる可能性がある。

また、海に近い製鉄所の工事案件の場合、海風で建物などが錆びていくため改修・修繕の仕事が継続的に発生しやすい。製鉄所は一度建設すると、万が一解体するようなことがあっても、それまでに4〜5年はかかかるのですぐに仕事がなくなることもないという。

「今日は仕事あるけど明日はわからない」「仕事に波がある」という昔ながらの職人世界から抜け出す道は、自社の環境を整えるとかなり開けてくるのではないだろうか。

そのためにも職人は発注者側の声にもっと耳を傾けるべきだと工事会社Aの社長は力説する。

ゼネコンや大手企業の工事を請けるハードル

海沿いにあるプラントのイメージ

工事会社Aも今でこそゼネコンや大型案件を請けているが、創業当初は社会保険に入っていなかった。しかし「明日もわからない不安定な状況」から脱するため、ゼネコンや大手クライアント関連の工事を請けられる体制を目指し、ゼネコンから1次請けとして仕事を得られるようになっていった。

「環境を整備するには労力が必要だったが、先の見えない不安定な生活よりは、一時的な努力で安定できる環境を手にする方が何倍も良かった。ゼネコンや大手の安定的な仕事を請けるためのハードルは決して高いものではない」という。

「資格や社会保険は仕事を請ける前の準備。それなくして仕事がほしいと言われても困ってしまいます。逆にそれが準備できれて、約束や契約をちゃんと守ってくれれば、技術は普通レベルでいいんです」。

たしかに民間工事はこれまでルールが曖昧で、誰でも参入できた業界だった。しかし元請けのゼネコンにとって、工事でトラブルが発生してしまったときのリスクと責任は重い。1次請けにとっても「保険に入っていない協力業者には頼めない」というスタンスになるのは当然だ。

「ウチでも民間工事をやったときに頼んだ協力業者さんが、約束通りに現場に来ないとか、気に入らないことがあって帰ってしまうなんてこともあり、唖然とした経験があります。ゼネコンの現場では絶対になかったこと。プロとしての意識レベルを疑いました。一般常識としておかしいですよね」と工事会社Aの社長は言う。

職人の技術力があっても、社会保険等がないと意味ない

社長インタビューのイメージ

工事会社Aには現在もゼネコンなどから大型案件の仕事がたくさん降りてきているそうだ。特に内装屋やクロス屋に多くの案件を依頼したいと考えているが、信頼できる協力業者が少ない。

同社長が語る「信頼できる協力業者」とは、職人の技術力に加え「社会保険」「資格」「建設業許可」が整っていること。ゼネコン関連や大手クライアント案件などの仕事を請けるには、それらを整えてこそスタートラインに立てる。

職人がどんなに優れた技術を持っていても、それが売れるものでなければ意味がない。

「内装工事だけでなく、倉庫の外構工事もゼネコンから打診されています。しかし、信頼できる協力業者がいなかったため、継続的に請けられず、単発で終わってしまう可能性があります」と同社長は残念がる。

また、車両保険だけ入ってないパターンもたまに問題になるという。せっかく他のハードルを整備できていても、それが理由で受注できないのは勿体無い。

ゼネコン案件や公共工事の仕事も請けてほしい

社長インタビューのイメージ

いまだに民間工事の一部では工事費未払いなどのトラブルが頻発している建設業だが、そのビジネスの雰囲気は確実に変わりつつある。

社会保険完備を求めることは下請けなどの弱者を守るという側面だけではなく、事業成長を望む職人企業にとって重要度が増している。

「真面目にやっている優秀な職人さんには、町場の工事だけじゃなくてもっと大きな仕事をしてほしいと思っています。資格や保険を整備してくれたら、頼める大手や公共工事はいくらでもあるんです。少し身ぎれいにして、仕事を請けられる状態を作れば、できますから」と工事会社Aの社長は話を締めくくった。


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