「クロス職人は、女の子こそ向いてる」女性クロス職人のベテラン語る

母親でありベテランクロス職人

「好きな仕事の“大変”は、大変にならないから」。

小柄な身体に不釣り合いなほど大きなロールを運び、むき出しの壁面にクロスを貼っていく女性。彼女の名前は、深山じゅんさん。2人のお子さんを持つ母親でもある。

未経験でこの世界に入って5年ほどの下積みを経て、独立。この道12年以上にもなるベテランだ。

深山さんはなぜクロスの世界に入ることにしたのか。現場の仕事をしながら家庭とのバランスをどうとっているのか。クロスの仕事の魅力をメインにお話を伺ってみた。

「いろんな仕事をしてきたけれど、建設現場の仕事が一番好きだった」

職人としてキャリアを語る深山じゅんさん

深山さんがクロスの仕事を始めたのは、今から20年以上前。23歳だった。離婚を機に「手に職を付けなくては」と思っていたとき、クロス・内装会社の社長さんと知り合ったのがきっかけと言うが、それ以前の“とび職”の経験があったことも大きかった様子。

「平成4年当時は、女の子がとび職に就くのがけっこう流行っていたんですよ。同年代の女の子も多くいましたけど、基本的におじいちゃんばかりの職場だったので、作業着を買ってもらうとか、良くしてもらっていましたね。ロッカーを開けたらメロンが入っていたこともあって(笑)。仕事自体も、ものすごく楽しかったですよ」

このときの経験と「手に職を付けたい」希望が後押しとなり、深山さんはクロスの世界に入ることを決めた。

クロスの基本的な業務は、お客さんに選んでもらったクロスを壁に張る、というもの。朝から晩まで黙々と大きな壁にクロスを張っていく。

「20歳の息子には、“毎日壁ばかり見て作業するなんて暗い仕事だね”って言われちゃって」と笑う深山さんだが、黙々と無心でできるところが好きなのだと言う。7~8割方の作業は1人で完結できてしまうところも、現場の他の仕事にはない特徴です。

深山さんが張った壁紙

また、お客さんの要望があれば、クロス選びをしてあげることもあるのだとか。

「“こだわりたいけど、どれを選んだらいいかわからない”というお客さんのクロス選びにはやりがいを感じますね。実際、クロスのカタログ見本はパーツが小さいので、一般の方には全体のイメージが付きにくいんですよ。

思い切った柄を提案してみると、“意外にも部屋に雰囲気が出てよかった”と感謝されることも多くて、それがすごくうれしいですね」

好きなクロスの仕事の“大変”は大変じゃない

仕事に対する深山さんの表情は真剣そのもの。職人としての誇りが感じられる。

勤務時間が不規則で、工期も設定されていて忙しいイメージが強い現場の仕事。基本的には8~17時の間に働いているというが、納期に間に合わないときは残業することもあるのだそうだ。

「今まで一番ハードだったのは、後輩のお店をつくったときですね。1月半ばに解体から始めたのに3月にお店をオープンしたい希望があったから、も~う大変でしたよ。

日中に大工さんたちが作っている合間を縫って、夜からクロスを貼って…ほぼそれぞれが同時進行みたいな現場でした。ほかにも日帰りで熊本まで行ったこともありましたね。カッツカツのスケジュールでしたけど、馬刺しはしっかり食べて帰りました(笑)」

寡黙に仕事へ打ち込む深山じゅんさん

4月とお盆前後を除く以外はだいたい繁忙期で、休みの日も家の掃除や洗濯など、常に動きのある生活をしている深山さん。ちょっと聞くと大変そうな印象もあるが、本人は苦に思ってない。

「独立してからの1年は特に大変でしたね。会社に所属しているときとは違って、現場作業に加え、事務作業など慣れない書類業務も全部1人でこなさなきゃいけないから、家に帰れないこともザラだった。でも、どんな仕事でも大変なことはあるし、好きな仕事の“大変”は全然大変にならないんですよね」

深山さんの笑顔に、“嘘”や“無理”は、微塵も感じられない。

女の子にはどんどんクロス職人になってほしい

深山じゅんさん

クロスの世界で12年以上に渡り、職人として経験を積んできた深山さん。男性が多い業界で苦労した経験はなかったのだろうか。話を聞いてみると、意外な答えが返ってきた。

「よく聞かれるんですけど、女性だからという理由で苦労したことはないんですよね。仮設トイレが汚すぎて使いたくない、とかはあったけど、そんなのは男性だって嫌じゃないですか。

重たいものを運ぶと言ってもたかが知れているし、小柄な私が12年以上も仕事を続けてこられたことが証明になるんじゃないかな」

女性だから大変なのではという“偏見”を見事に一蹴した上で、「むしろ女の子こそ向いている仕事だと思う」と深山さんは続ける。

「クロス貼りってものすごく細かい作業なんですよね。なので、現場の仕事の中でも手先が器用で、一般に細かいところに気を配れやすい女の子のほうが向いているんじゃないかと思うんです」

ほかにも、作業時にお客さまのご自宅にお邪魔するときや、クロス選びのときに直接接するお客さまに女性が多いことも、女性がクロス貼りに向いていると考える理由なのだそう。

また、クロスの現場では動きやすい格好であれば、服装は自由。無骨な印象が強い作業着にも、最近では女性向けのかわいらしいカラーリングのものを開発しているメーカーが増えてきている。

こうした“追い風”を受け、クロスの業界で働いてきた女性の“先輩”として、深山さんはさらにこう続けた。

「私はクロスの仕事がすっごく好きなので、この業界にもっと女の子たちが入ってきてほしいなと思っているんです。

今、女の子が少ないのは単にどんなお仕事なのか知らなかったり、実情と違うイメージが付いてしまったりしているからだと思うんですよね。未経験からでも何歳からでも“手に職”がつけられるし、“やりたい”と思ったら、どんどん飛び込んできてほしいと思います」

クロス業界で働く女性の先駆者として、楽しみながら仕事を続けてきた深山さん。「女性が現場で働くのは大変」という偏見を自身の働きぶりで明るく壊していく彼女の姿は、クロス業界に興味を持つ多くの女性の希望になっていくことだろう。

[企業情報]

社名/インテリアJUN

https://sustina.me/company/1485

本社所在地/千葉県富里市七栄513-51

対応可能職種/クロス・表具工事 | 内装床仕上工事

対応可能エリア/千葉県


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