「本当の職人になるな」ハウスクリーニング業のリアルな実態

ハウスクリーニング会社「ドンノバット」のサービス精神

「ハウスクリーニングはサービス業だ。だから“本当の職人”になってはいけない」。

そう語るのは、ハウスクリーニング会社のドンノバット(兵庫県高砂市)を運営する砂川智一さん。

もともと大手フランチャイズの傘下でハウスクリーニング業に参入したが、決められたルールの中でしかお客様にサービスを提供できないことに歯がゆさを感じ、フランチャイズを退会。

独立後はお客様への奉仕を徹底する中で、リフォーム事業への進出も狙うなど、新たなハウスクリーニング業の道を模索している。

そんな砂川さんにハウスクリーニング業界の品質や懸念点など、リアルな実態を聞いてきた。

フランチャイズのハウスクリーニング業を辞めた理由

砂川智一(すながわ・ともかず) / ドンノバット / クリーニング(材工)

砂川さんはなぜハウスクリーニング業を始めましたか?

砂川智一(以下、砂川) 生まれも育ちも兵庫県高砂市なんですが、親が高齢になったので地元に戻ることにしました。そのタイミングで始めたのがハウスクリーニング業だったんです。夫婦で一緒に何か仕事を始めようと思って、色々と模索して行き着いた仕事です。

まずは大手のフランチャイズ店舗として、ハウスクリーニング事業を始めることにしたんです。開業前に一定の技術も教えてもらいました。そこから7年ほどフランチャイズで仕事を続けたのですが、2019年の春に辞めて独立しました。現在、妻と私の弟の3人で、ドンノバットという会社を運営しています。

–なぜ独立を?

砂川 大手フランチャイズの傘下では、ハウスクリーニングのメニューが決まっていて、それ以外の内容をやってはいけないルールだったんです。

実際にハウスクリーニング業をやっていると、高齢のお客様などは不用品の廃棄などにも困っていたり、ゴミ屋敷のようになっているお家もあったりします。お客様は確実に困っているのに、フランチャイズの傘下にいるとメニュー外となるので、何もしてあげられない。

そういった縛りなどに息苦しさを覚えてフランチャイズ契約を解消し、独立するような形を取りました。

–ハウスクリーニングのやりがいは?

砂川 「綺麗になって本当に助かったわ」とか、そういう感謝される言葉をいただくときです。自分で言うのもなんですが、絶対に綺麗になってますからね。

でも、ハウスクリーニングしてもどうしても取れない汚れもあります。経年変化や革製ソファのシミなどは何を使っても取れなかったりするんです。予め説明してから取り掛かりますけど、本当に取れなかったりする(薄くなっている)と、正規の作業代金を頂戴するのが心苦しくて、半額でいいですよとお伝えすることもあります。

中には発売から10年以上経っている洗濯機を綺麗にしてほしいと頼まれることもあるのですが、メーカー保証も終わっていて、交換パーツもなかったりするので扱いが怖いです。カビは落とせるんですけど、万が一がありますから。

買い換えた方が早いですよとお伝えしてもいいんですが、お客様の安く済ませたいという気持ちも理解できるので悩みますね。

ハウスクリーニングは「サービス業」

ハウスクリーニングの品質について語るドンノバット代表・砂川智一さん

–ハウスクリーニング業者として心掛けていることは?

砂川  お客様が困っていることを解決するのが第一ですが、私はハウスクリーニングというのは“サービス業”だと思っているので、お客さんの気持ちになって寄り添うことも大切だと思っています。

私が修行していた頃によく言われたのは「本当の職人になるな」でした。いわゆる一般の方がイメージしてるような、ぶっきらぼうな職人になるなということです。

–具体的に言うと?

砂川 もちろん、言葉遣いや身なりは不潔だといけません。私が現場で必ず行なっていることとしては、そこに住んでいらっしゃる場所にお邪魔するので、自前のスリッパを持っていったり、作業中に汚れが飛び散らないように養生したりしています。

「エアコンだったら、1台に1時間40分程度かかります」とか作業時間の大体の目安は、必ず最初にお伝えしますね。

事前に「家の前に車を止めて、いいですか?」と確認するのは当然です。そして、約束の時間には絶対行きますが、万が一、渋滞で遅れそうなら、電話一本入れるといったことはサービス業として当たり前にやるべきことです。

お客様からの質問にも、誠心誠意答えています。「どれくらいの間隔で掃除したらいいですかね?」と聞かれても、それは商売っ気なしで教えます。

–ハウスクリーニングならではの「あるある」はありますか?

砂川 特に年配のお客様に多いのですが、ハウスクリーニング業者を呼ぶことに抵抗がある人もいるんです。家の掃除をプロに頼んでいることを、周り近所に知られたくないという感覚があるらしくて。

ハウスクリーニング業者を呼んでいるのを隠すため、「表玄関から入らず、勝手口の方から入ってきてほしい」と頼まれたこともあります。

それを受けて、車にラッピングしていた屋号も剥がしました。ハウスクリーニング業者の車が家の前に停まっているだけで、近隣の方々にハウスクリーニング業者が来たとお知らせしているようなものですから。

でも、30〜40代ぐらいの方々は、そういうことに抵抗感があまりないようです。上京した娘さんが、地元に残った高齢の母親のために遠方からハウスクリーニングの依頼をしてきたこともありました。

私の体験や周りから聞いた話なので、地域差やお客様の年齢、価値観にもよると思います。

ハウスクリーニング業界の懸念点

今後の目標について語るドンノバット代表・砂川智一さん

–砂川さんが仕事の上で大事にしていることは?

砂川  ドンノバットでは、自分たちが現場に行って作業ができる範囲で仕事を請けています。

安かろうが、高かろうが構わず仕事を取ってくる人は、結局手が回らないから、自分では行かずに外注しています。

その方が売上は上がると思いますが、人が違えば綺麗さにバラつきが出るかもしれません。ドンノバットではそんなことが無いように、最後まで自分たちで責任を持ってハウスクリーニングの仕事に当たるようにしています。

–ハウスクリーニング業界にはそういう業者が多いのでしょうか?

砂川 安さを売りにして、量でこなしていく業者さんは少なからずいます。聞いた話や見てきたケースだと仕事が大雑把なんです。1人のお客様にそれほど時間をかけられないからだと思います。

彼らの場合、時短のために効き目の強い薬品使っているんですけど、それも心配なんです。そういう薬品は、長い目で見たら自分の身体にとって良くない。吸い込むと健康に悪いですから。

それでも早く終わらせるためにやっているというか、仕事の請け方的にそうせざるを得ないのでしょう。

飲食店、例えば焼き鳥屋や焼肉屋ならそれを使うのもわかるんです。でも一般家庭だったら、使わずに済むはずです。お湯の温度上げれば、弱い洗剤でもできますよ。

仕事への考え方、ポリシーの違いによる部分と言ってしまえばそれまでですが、同業者に身体を悪くしてほしくないですし、それで仮にハウスクリーニングのイメージが悪くなってしまうようなことにつながってしまうと悲しいですね。

リフォーム、床仕上げ工事も請けていく

–ドンノバットの今後の目標は?

砂川 今まではハウスクリーニングだけで仕事をしてきましたが、これからはリフォームやフローリングなどの床仕上げ工事も請けていこうと考えています。そのスタートに合わせて社名を「ドンノバット」に変更することになりました(旧社名は「おそうじ工房」)。

技術はその界隈で名のある方に教わっているところです。リフォームの仕事を請けていくに当たり、これからは元請けさんとの繋がりを強化していきたいと考えています。また、クロス職人の知り合いから技術を教えてもらって、ハウスクリーニングと床とクロスを任せてもらえるようになっていきたいです。

ハウスクリーニング業のほうでも今までお断りしていた特殊清掃などの技術を身に付けて、技術の幅を広げていきたいと思っています。

[企業情報]

社名/ドンノバット

https://sustina.me/company/659158

本社所在地/兵庫県高砂市伊保町中筋1242-1

対応可能職種/クリーニング(材工)

対応可能エリア/大阪府、兵庫県


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